- トップページ
- 大学院紹介
- 医療技術科学専攻のご紹介
- 医療技術科学専攻 病態情報解析 教授 竹内一人
更新日:2021年5月 7日
医療技術科学専攻のご紹介
医療技術科学専攻 病態情報解析 教授 竹内一人
プロフィール
1996年3月愛媛大学医学部医学科卒業
1996年5月愛媛大学医学部第一内科(現血液?免疫?感染症内科学)入局:
//////////////////愛媛大学医学部第一内科、宮崎県立宮崎病院内科で内科臨床研修
2003年3月愛媛大学大学院医学系研究科博士課程修了(医学博士)
2003年4月愛媛大学医学部第一内科医員:
2004年4月宇和島社会保険病院(現JCHO宇和島病院)内科医長:
2006年10月愛媛大学医学部第一内科助手、助教:
2011年4月愛媛県立中央病院血液腫瘍内科部長 :
2014年4月愛媛大学医学部附属病院腫瘍センター助教、特任講師:
2021年4月365体育投注_365体育直播-【高清】@保健科学部臨床検査学科、教授
:
日本内科学会認定内科医?総合内科専門医?指導医:
日本血液学会認定血液専門医?指導医:
日本がん治療認定医機構がん治療認定医:
日本医師会認定産業医:
日本血液学会中国四国地方会評議員:
研究紹介
~悪性リンパ腫診療の向上のために~
悪性リンパ腫は血液のがんのひとつで、リンパ球の腫瘍です。血液腫瘍の中で最も多く、わが国においては高齢化社会に伴いますます患者数が多くなっています。悪性リンパ腫には様々な病型、臨床病理学的な特徴があり、極めて多様な疾患群です。他のがん腫に比べて化学療法の選択肢が多く、薬剤感受性も高いため、良好な治療成績が得られています。これらの理由から、悪性リンパ腫はこれまでがん治療の発展に大きく寄与し、近年その重要性は益々高まってきています。 悪性リンパ腫の多くの病型では、現在根治を目指した治療が可能であり、悪性リンパ腫は「治る可能性のあるがん」のひとつと言えます。しかしながら実際の臨床現場では、まだまだ診断?治療に苦慮する症例が多くみられます。少しでも多くの患者さんに貢献すべく、私たちは悪性リンパ腫診療の向上を目指して、愛媛大学医学部など多施設と連携してその診断?治療法の開発についての研究を行っています。
1. 悪性リンパ腫における高齢者機能評価を用いた予後予測と標準治療の確立
?一般的に高齢者は予備能に乏しく、恒常性維持機能の低下、複数の併存疾患や症状を伴うなどの身体面での問題を抱えている場合が多く、さらには認知機能を含む精神的な問題や家族形態、経済的困窮など、社会面の問題もあり、患者ごとに個人差が大きくなっています。
?悪性リンパ腫のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)は悪性リンパ腫の30%以上を占める代表的病型で、 患者さんは65歳以上の高齢者が多くみられます。高齢者DLBCLの標準治療は未確立で、その治療成績は良くありません。加齢に伴い身体機能?臓器機能が低下するため、重篤な治療関連毒性を回避するために治療強度を減弱した治療が実施されることが多いことも一因と考えられます。高齢者のDLBCLに対して画一的な治療を行っても良好な治療成績を期待しにくいため、患者個々の状態に応じて治療法を選択する必要があります。
?こうした高齢者特有の問題に対する総合的な評価法として高齢者総合機能評価(Comprehensive geriatric assessment : CGA)が近年提唱され, より簡便化されたG8(Geriatric 8)やfTRST(Flemish version of Triage Risk Screening Tool)等ががん治療の臨床に応用されてきていますが、血液腫瘍、悪性リンパ腫では報告がまだ多くありません。DLBCL患者の予後予測モデルとして、国際予後予測モデル (International prognostic index : IPI)が一般的に用いられていますが、高齢患者特有である個々の身体的、精神的ならびに社会的機能は考慮されていません。
?私たちは膨大な臨床データを後方視的に解析し、高齢者機能評価が高齢DLBCL患者の予後予測に有益であることを見出しました。さらにいくつかの予後規定因子を同定し、新たな予後予測モデルを確立し、個々の高齢患者さんに応じた標準治療の確立を目指して研究を行っています。
2. 眼窩原発MALTリンパ腫の診断?治療についての解析
?眼窩原発MALTリンパ腫(Primary ocular adnexal MALT lymphoma)は稀で、反応性リンパ増殖性疾患との鑑別が難しい疾患です。標準治療は確立されておらず、まとまった治療成績の報告は多くありません。私たちは眼窩原発MALTリンパ腫を病理学的及び分子遺伝学的に正確に診断して、その治療成績について後方視的に解析し、報告しました。様々に行われていた治療の中で、局所放射線療法を含む治療が最も再発率が低く予後良好でした。治療選択にあたっては、反応性リンパ増殖性疾患を慎重に除外する必要があります。さらなる症例の蓄積と、不明とされている発症病因の検討を分子遺伝学的に解析しています。
3. 悪性リンパ腫の診断法についての研究
?悪性リンパ腫を確定診断するには、病理組織検査が必要不可欠です。悪性リンパ腫には多くの病型がありその分類にはWHO分類が使われていますが、現在90種類以上の亜型に細分類されています。それぞれの疾患によって、その悪性度や治療法、予後は大きく異なるため、正確な診断が求められています。病理組織検査以外にも、染色体検査やフローサイトメトリー(FCM)、細胞診、遺伝子解析などを行い確定診断及び治療法の決定を行います。しかしながら実臨床の現場では、まだまだ確定診断に難渋する病型、症例が多くみられ、悪性リンパ腫と他疾患との鑑別が難しいこともあります。このような症例で早く、正確に診断できるようになることは、患者さんにとってとても有意義なことです。私たちはこのような問題を解決すべく、悪性リンパ腫診断の向上を目指して研究を行っています。
最近の業績
- Takeuchi K, Yakushijin Y. Pneumocystis jirovecii Pneumonia Prophylaxis for Cancer Patients during Chemotherapy. Pathogens. 2021; 10: 237. doi: 10.3390/pathogens10020237.
- Yamanaka S, Miyagawa M, Sugawara Y, Hasebe S, Fujii T, Takeuchi K, Tanaka K, Yakushijin Y. The prognostic significance of whole-body and spleen MTV (metabolic tumor volume) scanning for patients with diffuse large B cell lymphoma. Int J Clin Oncol. 2021; 26: 225-232.
- Ikeda Y, Tanimoto K, Azuma T, Fujiwara H, Ochi T, Asai H, Nabe S, Maruta M, Takeuchi K, Yamanouchi J, Kitazawa S, Takenaka K. Disseminated infection with novel human adenovirus (genotype 79) following allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Ann Hematol. 2020; doi: 10.1007/s00277-020-04151-x.
- 中内香菜, 井門静香, 済川聡美, 河添仁, 長谷部晋士, 朝井洋晶, 竹内一人, 松尾真由美, 薬師神芳洋. タッチパネル式患者参画型問診票共有システムを用いた化学療法有害事象の把握と評価. 癌と化学療法. 2020; 47: 801-806.
- Masuda Y, Takeuchi K, Kodama T, Fujisaki T, Imaizumi Y, Otsuka E, Ozaki S, Hasebe S, Yakushijin Y. Treatment-associated outcomes of patients with primary ocular adnexal MALT lymphoma after accurate diagnosis. Int J Clin Oncol. 2019; 24: 1620-1628.
- 山之内純, 池田祐一, 朝井洋晶, 越智俊元, 谷本一史, 竹内一人, 薬師神芳洋, 渡邊明人, 羽藤高明, 安川正貴, 竹中克斗. 後天性von Willebrand症候群を合併した骨髄線維症の1例. 日本内科学会雑誌. 2019; 108: 1448-1451.
- Hasebe S, Tanaka K, Miyake Y, Asai H, Takeuchi K, Fujii T, Kawazoe H, Tanimoto K, Yamanouchi J, Azuma T, Yasukawa M, Yakushijin Y. Analysis of Clinical Factors and Mortality in Diffuse Large B-cell Lymphoma Patients Over or Under 80 Years of Age. Int J Gerontol. 2018; 12: 100-104.
- Muneishi M, Nakamura A, Tachibana K, Suemitsu J, Hasebe S, Takeuchi K, Yakushijin Y. Retrospective analysis of first-line treatment for follicular lymphoma based on outcomes and medical economics. Int J Clin Oncol. 2018; 23: 375-381.
- 長谷部晋士, 木谷彰岐, 河添仁, 竹内一人, 薬師神芳洋. 再発?難治性悪性軟部腫瘍に対するpazopanib治療の検討. 愛媛医学. 2017; 36: 41-46.
- Yamanouchi J, Hato T, Shiraishi S, Takeuchi K, Yakushijin Y, Yasukawa M. Vancomycin-induced Immune Thrombocytopenia Proven by the Detection of Vancomycin-dependent Anti-platelet Antibody with Flow Cytometry. Intern Med. 2016; 55: 3035-3038.
- 松原悦子, 山之内純, 羽藤高明, 竹内一人, 新家敏之, 安川正貴. 再発時にrituximabが著効した高齢者の血栓性血小板減少性紫斑病. 臨床血液. 2016; 57: 869-872.
- Yakushijin Y, Shikata H, Takaoka I, Horikawa T, Takeuchi K, Yamanouchi J, Azuma T, Narumi H, Hato T, Yasukawa M. Usage of granulocyte colony-stimulating factor every 2 days is clinically useful and cost-effective for febrile neutropenia during early courses of chemotherapy. Int J Clin Oncol. 2011; 16: 118-124.
- Takeuchi K, Sakai I, Narumi H, Yasukawa M, Kojima K, Minamoto Y, Fujisaki T, Tanimoto K, Hara M, Numata A, Gondo H, Takahashi M, Fujii N, Masuda K, Fujita S. Expression of SOCS3 mRNA in bone marrow cells from CML patients associated with cytogenetic response to IFN-α. Leuk Res. 2005; 29: 173-178.
- 竹内一人. 慢性骨髄性白血病患者骨髄細胞におけるSuppressor of cytokine signaling 3発現の解析. 愛媛医学. 2003; 22: 162-172.
- 竹内一人, 酒井郁也, 山内勇人, 成見弘, 藤田繁. 慢性骨髄性白血病由来細胞株KT-1におけるインターフェロンα誘導遺伝子の解析. 臨床血液. 2003; 44: 65-69.
- Sakai I, Takeuchi K, Yamauchi H, Narumi H, Fujita S. Constitutive expression of SOCS3 confers resistance to IFN-α in chronic myelogenous leukemia cells. Blood. 2002; 100: 2926-2931.
- Yamauchi H, Sakai I, Narumi H, Takeuchi K, Soga S, Fujita S. Development of interferon-α resistant subline from human chronic myelogenous leukemia cell line KT-1. Intern Med. 2001; 40: 607-612.
詳細な業績はこちらに→ https://researchmap.jp/7000014796
受賞歴
- 2002年第43回日本臨床血液学会総会学会奨励賞
- 2005年第13回愛媛医学会賞
お知らせ
血液?腫瘍、特に悪性リンパ腫やがん化学療法、がんゲノム医療に興味がある学部生、大学院生の皆さん、一緒に研究しませんか。ご連絡お待ちしています。
- トップページ
- 大学院紹介
- 医療技術科学専攻のご紹介
- 医療技術科学専攻 病態情報解析 教授 竹内一人
このページに関するお問い合わせ
- 保健医療学研究科
-
電話番号:089-958-2111 ファックス番号:089-958-2177