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更新日:2024年5月 5日
医療技術科学専攻のご紹介
大学院医療技術科学専攻だより(研究紹介)
【ヒストンH3K9脱メチル化酵素Phf2はCD4+ T細胞におけるIL-4産生を制御する】
【内容】
T細胞の免疫応答において、分化を制御するエピジェネティック変化が重要であり、その調節因子が様々な免疫疾患と関連していることが推測されている(図1)。山田教授らのグループは、ヒストンH3K9脱メチル化酵素であるPhf2に着目し、T細胞特異的な遺伝子欠損マウスを作製してT細胞分化における役割について解析した。マウス脾臓から分離したCD4+ T細胞を活性化培養した結果、野生型(WT)と比較してPhf2の欠損により、Th1サイトカインであるIFN-γの遺伝子発現が増加し、Th2サイトカインであるIL-4の遺伝子発現が減少することが分かった(図2)。また、アトピー性皮膚炎マウスモデルを用いた解析から、Phf2欠損により血清IgE量が低下することが分かった(図3)。これらの結果から、CD4+ T細胞において、Phf2欠損によりTh1分化がTh2分化よりも優位となることが明らかとなり、Phf2が自己免疫疾患やアレルギー疾患の病態に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
【掲載情報】
Arakawa Y, Tano Y, Fujii M, Imai Y, Norimatsu Y, Yasukawa M, Watanabe M, Yamada T. The H3K9 demethylase plant homeodomain finger protein 2 regulates interleukin 4 production in CD4+ T cells. Cytokine, Mar; 175, 156506, 2024. DOI: 10.1016/j.cyto.2024.156506
【日本人の健康若年成人の表情認知に関する特徴:予備的研究】
【内容】
感情認知は日常生活において重要な役割を担っていますが、精神疾患患者では感情の認知が困難になります。感情認知障害は精神疾患の臨床症状の中核をなす表現型であり、感情認知を測定する能力は、神経変性疾患や精神疾患の治療反応の評価に有用です。本学の濵助教らは、これらの疾患の治療効果の指標として有用な感情認知測定尺度を開発することを目標とし、研究を行っています。しかしながら、感情認知には文化、性別、世代などの特定の因子が影響を及ぼしており、臨床的に応用するためには、これらの差異を検討する必要があります。本研究では、機械的に生成された表情動画を用いて、日本人特有の感情表情認識における特徴を明らかにしました。日本人の健康若年成人における表情認識では、評価者のみならず表現者の性別も影響し、その影響は感情の種類に依存することが示されました。この知見は学術誌であるBMC Psychologyに掲載されました。
【掲載情報】
Characteristics of healthy Japanese young adults with respect to recognition of facial expressions: a preliminary study. Hama T, Koeda M. BMC Psychol. 2023 Aug 17;11(1):237. DOI: 10.1186/s40359-023-01281-5.
【HCGにみられる有糸分裂像はHSILの細胞判定基準に成り得るか?】
【内容】
子宮頸がん検診において、細胞診検査は効果的ながん予防検査であり、扁平上皮癌(SCC)の前がん状態である高度扁平上皮内病変(HSIL)の発見は患者の予後のためにも重要であり、正確な診断が求められます。そのHSILとの鑑別が困難な非腫瘍(正常/反応性状態)は核密度の高い過染性クロマチン核を有する細胞集塊(HCG)で出現するため、多くの場合、HSILを除外出来ない異型扁平上皮細胞(ASC-H)と診断されます。ASC-Hと診断されると、そのトリアージは精密検査での組織生検の実施となり、患者への負担がかかるため、より注意深い観察と適切な診断が求められます。本学の則松良明教授らの研究チームは奈良県立医科大学との共同研究において、有糸分裂像に注目し、HCGに出現するそれらを有糸分裂マーカーであるリン酸化ヒストンH3を使用した免疫細胞化学染色標本にて認識しました。それは通常のスクリーニング法であるパパニコロウ染色標本と比べ、観察が容易であるため、対物40倍視野中に2個以上認めた場合、HSILとして同定可能であるだけでなく、スクリーニング時間の短縮が可能となりました。子宮頸部細胞診において、有糸分裂での診断基準の設定はわれわれが初めての試みです。その成果は学術誌であるJournal of Cytologyに掲載されました。 https://journals.lww.com/jocy/pages/currenttoc.aspx
【掲載情報】
Hisae Suzuki, Yumeno Kondo , Chihiro Oda, Takeshi Nishikawa, Mao Takeuchi, Shigenobu Tatsumi, Sho Hosokawa, Satoshi Irino, Tomoko Uchiyama, Tomomi Fujii, Yoshiaki Norimatsu. Can Mitotic Figures in Hyperchromatic Crowded Groups be Cytodiagnostic Criteria for High-Grade Squamous Intra-epithelial Lesions? Journal of Cytology. 2024;41(2):116-122. DOI: 10.4103/joc.joc_156_23
【テアニンは入眠後のカフェイン誘発性中途覚醒の増加を抑制して睡眠の質を維持する】
【内容】
岡村准教授と伊藤園中央研究所の共同研究で緑茶成分テアニンが睡眠の質に対するカフェインの影響を軽減できる可能性について示唆されました。エナジードリンクは、カフェインによる覚醒とパフォーマンスに及ぼす影響を利用しています。ただし、過剰摂取時に睡眠に対して悪影響を及ぼします。緑茶は世界中で消費されている嗜好品です。そして、カフェインによる興奮効果とテアニンによるリラックス効果の両方を有しています。テアニンはカフェインの興奮毒性を軽減します。この研究では、健康な若い女性において、テアニンがカフェインによって悪化した睡眠の質を改善するかどうかを評価しました。睡眠潜時、睡眠時間、中途覚醒時間、および中途覚醒回数などを測定しました。睡眠段階は脳波を用いて判定し、同時に近赤外分光法を用いて脳血流が測定しました。テアニン、カフェイン、またはテアニン?カフェイン混合飲料摂取群とプラセボ群の間で、入眠潜時や中途覚醒回数に差はありませんでした(A)。一方、カフェイン飲料摂取群はプラセボ群などと比較して中途覚醒時間の有意な増加を示しました(B)。つまり、カフェインとテアニンを同時に摂取すると、中途覚醒時間の増加が抑制されました。
【掲載情報】
Theanine maintains sleep quality in healthy young women by suppressing the increase in caffeine-induced wakefulness after sleep onset. Yoshitake Baba, Takanobu Takihara and Noritaka Okamura: Food Funct. 2023 Jul 31;14(15):7109-7116. DOI: 10.1039/d3fo01247f
【骨髄/ナチュラルキラー(NK)前駆細胞性急性白血病は新規の独立した白血病】
【内容】
日本小児血液?がん学会白血病?リンパ腫委員会委員長であった石田特命教授は東京医科歯科大学と、日本血液学会研究助成、日本白血病研究基金の支援で共同研究を行いました。骨髄/NK前駆細胞性急性白血病が、NOTCH1およびRUNX3の活性化とBCL11Bの不活性化に基づき発症する白血病で、従来知られていた白血病から独立した疾患概念であることを明らかにしました。骨髄/NK前駆細胞性急性白血病の遺伝子異常をつきとめ、その遺伝子異常に基づいた治療法が明らかになりました。NK細胞の起源の解明の一端を担う研究となりました。
【掲載情報】
Myeloid/natural killer (NK) cell precursor acute leukemia as a distinct leukemia type. Nishimura A, Yokoyama K, Naruto T, Ishida Y et al: Science Advances 9:eadj4407, 2023
【積極的包括スクリーニングによる小児がん経験者の晩期合併症の実態】
【内容】
石田特命教授ら聖路加国際病院小児科血液?腫瘍研究グループは小児がん経験者のフォローアップに人間ドックを用いた包括スクリーニングを行うことで、これまで見逃されていた可能性のある晩期合併症も適切に診断できることを明らかにしました。包括スクリーニングが実施された小児がん経験者の93.1%に何らかの晩期合併症が指摘されたのに対し、外来受診での一般的フォローアップを行った67.3%に晩期合併症を認めるに留まりました。包括スクリーニングで指摘された眼科的異常の多くは軽微なものでしたが、呼吸機能障害は重症例が多く、認知機能障害や歯科的異常は軽症と定義されるものでも生活の質の低下や整容上の問題に影響するため、これらを適切に診断することは小児がん経験者が生活を送る上で重要であると考えられました。
【掲載情報】
Significance of active screening for detection of health problems in childhood cancer survivors. Yoshimoto-Suzuki Y, Hasegawa D, Hosoya Y, Ishida, Y et al: Front Pediatr 10:947646, 2022
【同種移植サバイバーにおいてカルノフスキー点数と視覚的アナログスケール点数の意味するもの】
【内容】
本研究の目的は、カルノフスキーperformance status(KPS)点数と視覚的アナログスケール(VAS)点数を調査し、標準化された自己報告式の生活の質(QOL)のどの領域が同種造血幹細胞移植長期サバイバーにとって有用であるかを検討しました。KPS点数は、SF-36の身体的および役割の両要素の要約点数と有意に相関しており、一方、患者VAS点数は、SF-36の精神的要素の要約点数およびFACT-BMTの多くの下位尺度と有意に相関していました。主治医VAS点数は、KPSスコアと良好な相関がありました。結論として、KPS点数は身体的要素および役割?社会的要素の指標として、患者VAS点数は精神的要素および移植特有のQOLの指標と考えられました。
【掲載情報】
Karnofsky performance status and visual analogue scale scores are simple indicators for quality of life in long-term AYA survivors who received allogeneic hematopoietic stem cells transplantation in childhood. Ishida Y, Kamibeppu K, Sato A, et al: Int J Hematol 116:787-797, 2022
【小児がん治療後の長期フォローアップガイド】
【内容】
石田特命教授は、小児がん研究グループ(JCCG)の長期フォローアップ委員として、小児がん経験者の「長期フォローアップガイドライン」の作成に携わりました。小児がんの長期フォローアップの分野では、エビデンスに基づくガイドラインの作成が非常に困難であり、本書では可能な限り科学的根拠に基づく記載を心がけ、参考文献には可能な限りエビデンスレベルを付記しました。本書は小児がんの患者さんが、日本のどの施設においても同じように長期フォローアップが受けられることを目標に、小児がん治療や合併症治療に携わる診療科の医師、看護師、心理師、ソーシャルワーカーなど多職種からなる執筆陣で作成しました。
【掲載情報】
小児がん治療後の長期フォローアップガイド. 前田尚子編集東京, クリニコ出版, 2021
【原発がん別の小児がん診断後の二次がん】
【内容】
石田特命教授らのグループは、日本15の病院において1980年から2009年の間に診断された10,069人の小児がんサバイバーの後ろ向きコホート研究を行い、原発がんと二次がんとの関連を明らかにするために二次解析を行いました。20年後の二次がんの累積発生率は、原発がんごとに異なっていました。血液悪性腫瘍:3.1%(95%CI 2.2-4.3);網膜芽細胞腫:6.6%(95%CI1.5-16. 8);小児固形腫瘍2.5%(95%CI 1.3-4.2);脳腫瘍5.2%(95%CI 1.7-11.8)骨?軟部肉腫5.2%(95%CI 2.3-10.1);その他3.3%(95%CI 1.6-6.0)でした(p = 0.015)。二次がんの累積発生率は、骨肉腫(13.1%)が最も高く、次いで肝芽腫(8.4%)、網膜芽細胞腫(6.6%)で、原発がんと二次がんの診断には密接な関連が認められました。
【掲載情報】
Secondary cancer after a childhood cancer diagnosis: viewpoints considering primary cancer. Ishida Y, Maeda M, Adachi S, et al Int J Clin Oncol 23:1178-1188, 2018
【医療資源や医療制度の水準が異なる国々のケアモデルの現状】
【内容】
5大陸18カ国から小児がんサバイバーシップの臨床ケアおよび研究に携わる関係者がサバイバーシップケアの現状をまとめましたが、石田特命教授はアジアを代表して日本の現状を報告しました。小児がんサバイバーでは、一般的に医療資源が利用可能で、ほとんどの国で生存者の大部分が晩期合併症に精通した医師の診察を受けていることが示されました。しかし成人期に移行した後、晩期合併症に詳しい医師の診察を受けるのは少数派でした。小児科医師とプライマリ?ケアとの間のコミュニケーションを改善する必要があるにもかかわらず、プライマリ?ケア医を教育するための全国的な取り組みを行っている国はわずかであることが明らかになりました。
【掲載情報】
Models of Care for Survivors of Childhood Cancer From Across the Globe: Advancing Survivorship Care in the Next Decade. Tonorezos ES, Barnea D, Cohn RJ, Ishida,Y et al: J Clin Oncol 36:2223-2230, 2018
【Graphical Abstract Image】
【内容】
則松教授らの研究グループが2016年5月に横浜で開催された国際細胞学会での専門家会議で提唱した新しい子宮内膜細胞診報告システム(The Yokohama System (TYS)for Reporting Endometrial Cytology)によって、現在、子宮内膜細胞診の国際標準化が加速しています。この度、学術誌 Cytopathologyにおいて、子宮内膜細胞診の役割を再評価する機会が得られ、review article(総説)を執筆しました。この総説ではTYS診断での再現性が高く、臨床治療管理に貢献するとともに、診断手順に役立つ分子生物学的補助技術を解説しています。
【掲載情報】
A review of the directly sampled endometrial cytology on LBC samples: Classification, microscopic criteria and beyond. Norimatsu Y, Maeda Y, Malara N, Fulciniti F, Kobayashi TK. Cytopathology. 2023 Dec 5. doi: 10.1111/cyt.13342.
【著書】ヨコハマシステム準拠子宮内膜細胞診アトラス第2版内容
内容
則松教授らの研究グループは子宮内膜細胞診の国際標準化を目指して研究を進めてきましたが、今回、それらの研究成果を医学書院(https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/110759)より、「ヨコハマシステム準拠子宮内膜細胞診アトラス第2版」として出版しました。
本書で用いている項目や結果報告の用語は、先般、Springer-Nature社から出版された『The Yokohama System(TYS)for Reporting Endometrial Cytology』や日本臨床細胞学会から出版されている『細胞診ガイドライン』に完全に準拠しているので、そのまま臨床医に報告内容と推奨される臨床的取扱いを伝達することが可能です。
掲載情報
医学書院「ヨコハマシステム準拠子宮内膜細胞診アトラス第2版」
【研究成果】_MTX-LPDの自然消褪にPD-L1発現が関与している可能性
内容
MTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)の一部の患者は、MTX休薬のみで自然消褪傾向を示すが、古典的ホジキンリンパ腫の像を呈するMTX-LPDは休薬効果が得られにくいことが知られている。祇園准教授らのグループは、その原因として、腫瘍細胞がPD-L1を発現し、免疫監視機構から逃れている可能性を示唆した。
掲載情報
PD-L1 expression is associated with the spontaneous regression of patients with methotrexate-associated lymphoproliferative disorders. Gion Y, Doi M, Nishimura Y, Ikeda T, Filiz Nishimura M, Sakamoto M, Egusa Y, Nishikori A, Fujita A, Iwaki N, Nakamura N, Yoshino T, Sato Y. Cancer Med. 2022 Jan;11(2):417-432.(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34842351/)
【著書】_"The Yokohama System for Reporting Endometrial Cytology Definitions, Criteria, and Explanatory Notes"
内容
則松教授らの研究グループは子宮内膜細胞診の国際標準化を目指して研究を進めてきましたが、今回、それらの研究成果を世界的な学術出版社であるSpringer Nature (https://www.springernature.com/jp)より、"The Yokohama System for Reporting Endometrial Cytology Definitions, Criteria, and Explanatory Notes"として出版(eBook, Softcover Book)しました。(https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-16-5011-6?sap-outbound-id=5632C5A45E4D0101E0A7EE27F8AB0E1E5E03C2FC#about)
【研究成果】_BDシュアパス-LBC保存液での子宮内膜細胞固定には少なくとも18時間の固定が必要!!
内容
子宮内膜細胞診断においては、子宮内膜腺集塊の三次元構造の観察が重要です。子宮内膜細胞診において、液状化検体細胞診(Liquid-based cytology;LBC)の1つであるBDシュアパス法における標本作製は、図に示すように(Graphical Abstracts参照)、まず、子宮内膜細胞を採取したブラシを細胞固定保存液で洗浄、収集し、細胞の固定を行います。次に、PrepMateシステムでの前処理を行います、この装置は、バイアル中の細胞固定保存液をシリンジで撹拌し、それらの分離試薬への重層を自動で行う装置です。奈良県立医科大学の西川博士と本学の則松良明教授らの研究チームは子宮内膜細胞の固定時間が短いと(6時間以内)、子宮内膜腺集塊は前処理で受けた機械的衝撃により破壊され、三次元構造のほとんどが失われることを発見しました(図1)。その対策を検討した結果、子宮内膜腺集塊の三次元構造の保持のためには、少なくとも18時間の細胞固定が必要であることを明らかにしました(Graphical Abstracts-図3)。このことは、BDシュアパス-LBC法での子宮内膜細胞標本作製の標準化とともに、細胞診断の精度向上のためにも非常に重要な知見です。その成果は学術誌 Cytopathologyに掲載されました。
掲載情報
Nishikawa T, Suzuki H, Takeuchi M, Tatsumi S, Tachibana Y, Ohbayashi C, Kobayashi TK, Norimatsu Y. A study on preserving endometrial glandular architecture during preparation using BD SurePathTM liquid-based cytology reagents: Cellular fixation with preservative fluid requires at least 18 h. Cytopathology. 2021 Dec 9. doi: 10.1111/cyt.13087. Online ahead of print. (https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cyt.13087)
【研究成果】_BDシュアパス-LBC保存液を用いた免疫細胞化学染色において、抗原存在部位により適切な保存液の種類や保存温度が異なる
内容
液状化検体細胞診(Liquid-based cytology;LBC)とは、採取した細胞を固定保存液に回収後,専用の医療機器を用いて細胞診検査用標本を作製する技術であり、標本作製の標準化、検体不適正率の減少、LBC標本独自の細胞所見や免疫細胞化学染色による診断精度の向上、鏡検作業の負担軽減などが期待できることから,今後のさらなる普及が予想されます。そのLBC法の1つである BDシュアパス法では細胞固定保存液が3種類あり、それぞれの成分が異なるため、免疫細胞化学染色の実施において、目的細胞での抗原の保持能力が異なる可能性が考えられます。そこで、北陸大学の佐藤妃映准教授と本学の則松良明教授らの研究チームは造血系腫瘍の培養細胞を用いて、それら細胞固定保存液(非婦人科系検体用細胞固定保存液2種類)を室温と冷蔵にて種々の期間(最長3ヶ月)保存し、細胞膜や核内抗原での免疫細胞化学染色を実施し、それぞれの細胞固定保存液の抗原保持能力の特徴を明らかにしました。その成果は学術誌 Acta Cytologicaに掲載されました。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34535585/)
掲載情報
Sato H, Norimatsu Y, Irino S, Nishikawa T. Efficacy of the Antigenicity-Retaining Ability of Fixative Solutions for Liquid-Based Cytology: Immunocytochemistry of Long-Term Storage.Acta Cytol. 2021;65(6):510-521. doi: 10.1159/000518452.
大学院365体育投注_365体育直播-【高清】@の研究紹介
【研究紹介】新任365体育投注_365体育直播-【高清】@の研究紹介_
内容
2021年9月に着任した祇園准教授の研究紹介です。「MTX関連リンパ増殖性疾患の病態解明」を研究の主軸として(詳細は添付PDFをご参照ください)、その他にもリンパ腫や頭頸部腫瘍、婦人科細胞診検体を対象にした研究など、様々なテーマに取り組んでいます。研究内容、大学院進学に興味をお持ちの方は、ぜひお声かけください!
【研究成果】新しい病原体エリザベスキンギア?アノフェリスは、マクロファージによる捕食から逃れる機構を備えている_
内容
免疫細胞のマクロファージは、体内に侵入した病原体を捕食して消化?殺菌することで、感染症を防いでいます。美間教授と岡山大学の後藤助教、松下教授らのグループは、新しい病原体であるElizabethkingia anophelis(エリザベスキンギア?アノフェリス)が、マクロファージによる捕食から逃れる機構を備えていることを明らかにしました。
掲載情報
Elizabethkingia anophelis, an emerging pathogen, inhibits RAW 264.7 macrophage function. Mayura IPB, Gotoh K, Nishimura H, Nakai E, Mima T, Yamamoto Y, Yokota K, Matsushita O. Microbiol Immunol (2021) 65:317-324. (https://doi.org/10.1111/1348-0421.12888)
【最新研究紹介】_T細胞のエピジェネティック調節による抗腫瘍活性の増強
内容
T細胞におけるエネルギー代謝はエピジェネティック調節に関与し、抗腫瘍活性に影響を与えます。山田教授、荒川助教、田野院生の研究グループは、グルタミン代謝を介したエピジェネティック調節に着目し、がんに対する免疫療法の効果を上げる手法の開発に取り組んでいます。
掲載情報
Enhancement of antitumor activity by epigenetic regulation of tumour-specific T cells. Yamada Takeshi, Arakawa Yuya Impact, Volume 2021, Number 8, October 2021, pp. 6-8(3) DOI: https://doi.org/10.21820/23987073.2021. 8.6 (https://www.ingentaconnect.com/content/sil/impact/2021/00002021/00000008/art00003#)
【研究成果】_子宮内膜癌での細胞診断における、CD10およびCD31の発現パターンは、腫瘍性血管間質の認識に有用である
内容
子宮内膜細胞診は子宮内膜癌の検出における最初の検査法ですが、非腫瘍性病変である子宮内膜腺間質破綻における両者の鑑別は困難な場合があります。則松教授、細川助教、矢野助教の研究グループは、CD10 およびCD31マーカーを使用した免疫組織?細胞化学的検出法を用い、癌細胞中の腫瘍性血管間質を認識することで、子宮内膜腺間質破綻との鑑別が容易になることを発見しました。その成果は学術誌 CytopathologyにAcceptされました。(グラフィック?アブストラクトを参照)
掲載情報
The Expression Pattern of CD10 and CD31 Identifies Fine Fibrovascular Stroma of Grade 1-Endometrial Endometrioid Carcinomas in Cytology. Yoshiaki Norimatsu,Takeshi Nishikawa,Hisae Suzuki, Sho Hosokawa, Hiroko Yano, Yoshinobu Maeda,Tetsuji Kurokawa, Akiko Shinagawa,Tadao K. Kobayashi, Franco Fulciniti.(https://doi.org/10.1111/cyt.13070)
【研究成果】_認知症がん患者の治療と予後に関する解析
内容
高齢化社会において、認知症を併発したがん患者は増加しています。認知機能の低下、意思決定の障害は治療方針決定に影響を及ぼします。竹内教授らのグループは認知症のがん患者が適切な治療を受けられるかどうか明らかにする目的で、その治療と予後に関する解析を行い、報告しました。治療的介入を受けた患者の方がより良い予後が認められました。
掲載情報
Treatment and prognosis of patients with both cancer and impaired decision-patient with both cancer and dementia making as a symptom of dementia. Tomomi Fujii, Michiko Wada, Shinji Hasebe, Kazuto Takeuchi, Toshihiro Yorozuya, Yoshihiro Yakushijin. Geriatr Gerontol Int. 2021 Oct 15. https://doi.org/10.1111/ggi.14292 Online ahead of print.
【研究成果】_移植非適応の多発性骨髄腫患者に対するsingle response assessment
内容
多発性骨髄腫の治療効果判定にはInternational Myeloma Working Group (IMWG)の基準が広く用いられていますが、その判定には連続する2回の評価が必要です。竹内教授が参加した研究グループは1回の評価でも遜色がないことを見出し、報告しました。
掲載情報
Single response assessment of transplant-ineligible multiple myeloma: a supplementary analysis of JCOG1105 (JCOG1105S1). Nakamura N, Maruyama D, Machida R, Ichinohe T, Takayama N, Ohba R, Ohmachi K, Imaizumi Y, Tokunaga M, Katsuya H, Yoshida I, Sunami K, Kurosawa M, Kubota N, Morimoto H, Kobayashi M, Kato H, Kameoka Y, Kagami Y, Kizaki M, Takeuchi K, Munakata W, Iida S, Nagai H. Jpn J Clin Oncol. 2021; 51(7): 1059-1066. https://doi.org/10.1093/jjco/hyab066
【研究成果】_ASXL1変異は、低リスク骨髄異形成症候群の貧血患者におけるダルベポエチンアルファに対する予後不良因子である
内容
低リスク骨髄異形成症候群患者の貧血をダルベポエチンアルファで治療する際に、効果予測因子となる遺伝子変異が存在するかどうかを、竹内教授が参加した研究グループが高頻度出現遺伝子変異を中心に解析して今年6月のEHA2021 第26回欧州血液学会議で発表しました。ASXL1遺伝子変異が有意に反応不良であることを見出しました。
掲載情報
ASXL1 MUTATIONS PREDICT A POOR RESPONSE TO DARBEPOETIN ALFA IN ANEMIC PATIENTS WITH LOW-RISK MDS: A MULTICENTER, PHASE II STUDY. Motoshi Ichikawa, Yasuyoshi Morita, Hitoshi Hanamoto, Yasuhito Nannya, Hirohiko Shibayama, Yoshinobu Maeda, Tomoko Hata, Toshihiro Miyamoto, Hiroshi Kawabata, Kazuto Takeuchi, Hiroko Tanaka, Junji Kishimoto, Satoru Miyano, Itaru Matsumura, Seishi Ogawa, Koichi Akashi, Yuzuru Kanakura, Kinuko Mitani. EHA2021 Virtual Congress https://library.ehaweb.org/eha/2021/eha2021-virtual-congress/325672/motoshi.ichikawa.asxl1.mutations.predict.a.poor.response.to.darbepoetin.alfa.
【研究成果】_化学療法中のがん患者に対するニューモシスチス肺炎の予防
内容
化学療法中のがん患者は免疫力が低下し易感染状態となるため、日和見感染であるニューモシスチス肺炎を発症することがあります。発症すると重篤となり致死的な経過を辿ることがあるため予防が重要ですが、その適応?予防法は未確立です。竹内教授が最新の動向の概説を発表しました。
掲載情報
Pneumocystis jirovecii Pneumonia Prophylaxis for Cancer Patients during Chemotherapy. Kazuto Takeuchi, Yoshihiro Yakushijin. Pathogens. 2021; 10(2):237. https://doi.org/10.3390/pathogens10020237
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